特定口座からNISA口座へ移行することはできる?売却すべき?

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特定口座からNISA口座へ直接の資産移行はできない

「特定口座で保有している株式や投資信託を、そのままNISA口座に移管したい」と考えている方もいるかもしれません。
特に、すでに利益が出ている資産をNISA口座に移して、非課税メリットを活かしたいと思うのは自然なことです。
しかし、残念ながら、特定口座からNISA口座へ、資産を直接移すことはできません。
ここでは、その理由と、特定口座の資産をNISA口座で運用するための方法について解説します。

特定口座とNISA口座は別々の口座

特定口座とNISA口座は、税制上の扱いが異なる、別々の口座です。
特定口座は、投資で得た利益に対して税金がかかる「課税口座」です。
一方、NISA口座は、年間投資枠の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる「非課税口座」です。

銀行の普通預金口座から定期預金口座へお金を移すように、
特定口座からNISA口座へ資産をそのまま移すことはできません。
これは、税務署が、それぞれの口座で、課税・非課税の区別を明確にする必要があるためです。
もし、特定口座からNISA口座へ資産を直接移すことができてしまうと、
課税されるべき利益が非課税になってしまう可能性があります。

そのため、特定口座で保有している株式や投資信託をNISA口座で運用したい場合は、
別の方法を取る必要があります。

特定口座からNISA口座へ資産を移すには「売却」と「購入」が必要

特定口座で保有している資産をNISA口座に移したい場合は、一度売却して現金化し、その資金でNISA口座で改めて購入する必要があります。
つまり、「特定口座で売却」→「現金化」→「NISA口座で新たに購入」という手順を踏むことになります。

例えば、特定口座で保有しているA社の株式をNISA口座に移したい場合、

  1. 特定口座でA社の株式を売却する
  2. 売却代金(現金)を受け取る
  3. NISA口座でA社の株式を改めて購入する

という流れになります。

この際、注意しなければならないのは、

  • 特定口座での売却時に利益が出ていると、税金がかかること
  • NISA口座での購入は、NISAの年間投資枠の範囲内で行う必要があること

の2点です。
次の見出しからは、特定口座の資産をNISA口座に移すメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。

特定口座の資産をNISA口座に移すメリット・デメリット

特定口座の資産をNISA口座に移すことには、メリットとデメリットの両方があります。ここでは、特定口座で保有している株式や投資信託を売却し、NISA口座で買い直す場合のメリットとデメリットについて、詳しく解説します。

メリット:売却益が出ている場合、NISAの非課税メリットを活かせる

特定口座で保有している資産に売却益(含み益)が出ている場合、NISA口座に移すことで、その後の運用益が非課税になるというメリットがあります。

特定口座で保有している株式や投資信託を売却せずにそのまま保有し続けた場合、
将来的に売却した際に、売却益に対して約20%の税金がかかります。
しかし、NISA口座で買い直して運用すれば、
その後の値上がり益や分配金は非課税になります。

例えば、特定口座で100万円で購入した株式が150万円に値上がりしているとします。
この株式を特定口座で売却すると、50万円の利益に対して約10万円の税金がかかります。
しかし、この株式を一度売却し、NISA口座で買い直した場合、
その後、株価がさらに上昇して200万円になったとしても、
売却益は非課税となり、税金はかかりません。

このように、特定口座で含み益が出ている資産をNISA口座に移すことで、
将来の税負担を軽減できる可能性があるのです。
特に、長期的に値上がりが期待できる資産や、
配当金や分配金が多く出る資産をNISA口座で運用すると、
非課税メリットを最大限に活かすことができます。

デメリット:売却時に税金がかかる可能性がある、NISAの年間投資枠を消費する

特定口座で保有している資産を売却する際に利益が出ていると、税金がかかります。
これが、特定口座の資産をNISA口座に移す際の最大のデメリットです。

例えば、特定口座で100万円で購入した株式が150万円に値上がりしている場合、
この株式を売却すると、50万円の利益に対して約10万円の税金がかかります。
せっかくNISA口座に移して非課税メリットを活かそうとしても、
売却時に税金がかかってしまっては、メリットが薄れてしまいます。

また、NISA口座で新たに購入するため、NISAの年間投資枠を消費します。
NISAには、「つみたて投資枠」が年間120万円、
「成長投資枠」が年間240万円という年間投資枠があります。
特定口座の資産をNISA口座に移す場合、
この年間投資枠の範囲内で買い直す必要があります。

例えば、特定口座で保有している200万円分の株式を
NISA口座の「成長投資枠」で買い直したい場合、
その年の「成長投資枠」の残り40万円分は、
他の商品を購入することができなくなります。

さらに、売却時と購入時の価格変動にも注意が必要です。特定口座の資産を売却した後、NISA口座で購入するまでに時間が空いてしまうと、その間に価格が変動する可能性があります。売却時よりも高い価格で購入することになってしまうと、結果的に損をしてしまう可能性もあります。

このように、特定口座の資産をNISA口座に移す際は、売却時の税金、NISAの年間投資枠、価格変動リスクなどを考慮する必要があります。

特定口座の資産、NISA口座に移すべき?判断のポイント

特定口座の資産をNISA口座に移すかどうかは、メリットとデメリットを比較検討し、慎重に判断する必要があります。ここでは、特定口座の資産をNISA口座に移すべきかどうかを判断するための、具体的なポイントを解説します。

売却益が出ているか、損失が出ているか

特定口座で保有している資産に売却益(含み益)が出ているか、損失(含み損)が出ているかによって、NISA口座に移すメリット・デメリットが変わります。

  • 売却益が出ている場合:
    特定口座で売却すると税金がかかりますが、NISA口座に移して運用すれば、その後の運用益が非課税になります。
    長期的に値上がりが期待できる資産であれば、NISA口座に移すメリットが大きいと言えるでしょう。
    ただし、売却時に税金がかかること、NISAの年間投資枠を消費することを考慮する必要があります。
  • 損失が出ている場合:
    特定口座で売却すると、損失が確定します。
    NISA口座に移しても、その損失は損益通算や繰越控除の対象にはなりません。
    そのため、損失が出ている資産をNISA口座に移すメリットは少ないと言えます。
    ただし、今後値上がりが期待できると判断するのであれば、NISA口座に移して、将来の運用益を非課税にするという選択肢もあります。

NISAの年間投資枠に余裕があるか

NISA口座で新たに購入するため、NISAの年間投資枠(つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円)に余裕があるか確認しましょう。NISAの年間投資枠は、1年間(1月~12月)にNISA口座で投資できる金額の上限です。この枠を超えてNISA口座で投資をすることはできません。

特定口座の資産をNISA口座に移す場合、その金額分の年間投資枠を消費することになります。もし、NISAの年間投資枠をすでに使い切っている場合は、その年に特定口座の資産をNISA口座に移すことはできません。翌年以降に改めて検討する必要があります。

また、NISAの年間投資枠に余裕がない場合は、特定口座の資産の一部だけをNISA口座に移すという方法も考えられます。例えば、特定口座で保有している株式のうち、値上がり益が大きいものだけをNISA口座に移す、といった具合です。

長期保有したい商品かどうか

NISAの非課税メリットを最大限に活かすためには、長期保有が基本です。NISA口座で保有している資産は、いつでも売却できますが、頻繁に売買を繰り返すと、非課税メリットを十分に活かすことができません。

特定口座の資産をNISA口座に移す場合は、その資産を長期的に保有したいかどうかを検討しましょう。

  • 長期的に値上がりが期待できる
  • 配当金や分配金が多く出る

といった資産は、NISA口座で長期保有するのに適しています。

一方、短期的な値上がり益を狙う商品や、頻繁に売買を繰り返したい商品は、NISA口座での運用には向いていません。
これらの商品は、特定口座や一般口座で運用することを検討しましょう。

これらの判断ポイントを総合的に考慮し、特定口座の資産をNISA口座に移すかどうかを決めましょう。
もし、判断に迷う場合は、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。

【ケース別】特定口座からNISA口座への資産移行シミュレーション

特定口座からNISA口座への資産移行を検討する際、具体的なシミュレーションを行うことで、メリット・デメリットをより明確に把握できます。ここでは、2つのケースを例に、特定口座からNISA口座への資産移行シミュレーションを紹介します。

ケース1:特定口座で100万円の含み益がある場合

特定口座で保有している株式に100万円の含み益がある場合、NISA口座に移すメリットとデメリットを比較します。

【前提条件】

  • 特定口座で保有しているA株式の取得価額:200万円
  • A株式の現在の評価額:300万円
  • A株式を売却した場合の税金:約20万円(利益100万円 × 税率約20%)
  • NISA口座の成長投資枠に、十分な余裕があると仮定
  • A株式は、今後も値上がりが期待できると仮定

【特定口座で売却し、NISA口座で買い直した場合】

  • 特定口座での売却益:100万円
  • 特定口座での売却益にかかる税金:約20万円
  • 手取り額:280万円
  • NISA口座でのA株式の取得価額:300万円
  • その後の運用益:非課税

【特定口座で保有し続けた場合】

  • 特定口座でのA株式の取得価額:200万円
  • 将来売却した際の売却益:課税対象

【考察】

このケースでは、特定口座でA株式を売却すると約20万円の税金がかかりますが、NISA口座で買い直すことで、その後の運用益が非課税になります。A株式が今後も値上がりが期待できると判断するのであれば、NISA口座に移すメリットが大きいと言えるでしょう。ただし、NISA口座で買い直す際に、株価が上昇してしまう可能性もあります。

ケース2:特定口座で50万円の含み損がある場合

特定口座で保有している投資信託に50万円の含み損がある場合、NISA口座に移すメリットとデメリットを比較します。

【前提条件】

  • 特定口座で保有しているB投資信託の取得価額:150万円
  • B投資信託の現在の評価額:100万円
  • NISA口座のつみたて投資枠に、十分な余裕があると仮定
  • B投資信託は、今後値上がりが期待できると仮定

【特定口座で売却し、NISA口座で買い直した場合】

  • 特定口座での売却損:50万円
  • 特定口座での売却損は、他の利益と損益通算できない(NISA口座に移すため)
  • NISA口座でのB投資信託の取得価額:100万円
  • その後の運用益:非課税

【特定口座で保有し続けた場合】

  • 特定口座でのB投資信託の取得価額:150万円
  • 将来売却した際の売却益(または損失):課税対象(他の利益と損益通算可能)

【考察】

このケースでは、特定口座でB投資信託を売却すると50万円の損失が確定しますが、
他の利益と損益通算することができません。
一方、NISA口座で買い直すことで、その後の運用益が非課税になります。

B投資信託が今後値上がりが期待できると判断するのであれば、
NISA口座に移すメリットがあると言えます。
しかし、特定口座で保有し続けた場合、
将来的に値上がりして売却益が出た際に、
今回の損失と損益通算できる可能性があるため、
どちらが良いかは一概には言えません。

これらのシミュレーションは、あくまで一例です。
個々の状況や投資判断によって、最適な選択は異なります。
特定口座からNISA口座への資産移行を検討する際は、
ご自身の状況をよく確認し、慎重に判断しましょう。

まとめ:特定口座からNISA口座への資産移行は慎重に判断を

特定口座からNISA口座へ資産を移すことは、直接的にはできません。特定口座で保有している株式や投資信託をNISA口座で運用したい場合は、一度売却し、NISA口座で買い直す必要があります。

特定口座からNISA口座へ資産を移すことには、メリットとデメリットがあります。

  • メリット:
    特定口座で含み益が出ている資産をNISA口座に移すことで、その後の運用益が非課税になる。
  • デメリット:
    特定口座で売却益が出ていると、売却時に税金がかかる。NISAの年間投資枠を消費する。

特定口座の資産をNISA口座に移すべきかどうかは、

  • 特定口座で保有している資産に売却益が出ているか、損失が出ているか
  • NISAの年間投資枠に余裕があるか
  • 長期保有したい商品かどうか

などを考慮し、慎重に判断しましょう。

特に、特定口座で損失が出ている資産をNISA口座に移す場合は、注意が必要です。
NISA口座に移すと、その損失は損益通算や繰越控除の対象にならなくなります。
今後の値上がりが期待できると判断するのであれば、NISA口座に移すメリットもありますが、
将来的に値上がりして売却益が出た際に、特定口座であれば過去の損失と損益通算できたはず、
という可能性も考慮する必要があります。

NISA口座は、非課税メリットが大きい制度ですが、
特定口座から資産を移す際には、注意すべき点もいくつかあります。
今回の記事で解説した内容を参考に、ご自身の状況に合わせて、
慎重に判断してください。
もし、判断に迷う場合は、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。

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